介護離職の防止は経営課題!今すぐ取り組むべき対策【2025年法改正対応】

「自社でも、親の介護を理由に退職を考える従業員が出てきた」
「優秀な人材が介護で辞めてしまうのは、企業にとって大きな損失だ」
「介護離職を防ぐために、企業として何をすれば良いのか」
上記の課題意識をお持ちの経営者や人事・労務担当者の方は多くいます。
介護離職はもはや個人の問題ではなく、企業の持続的な成長を左右する重要な経営課題です。特に企業の中核を担う40代、50代の従業員が直面するケースが多く、人材流出は事業継続のリスクに直結します。
しかし、多くの企業では問題が起きてから対応するなど、後手に回ってしまうケースが少なくありません。マイナビの調査によると、2025年4月から義務化されている介護離職防止のための雇用環境整備を「現在実施していない」企業は36.9%にのぼります。
本記事では、介護離職の現状、企業が今すぐ取り組むべき具体的な対策、2025年施行の法改正への対応を解説します。他社の成功事例や、活用できる助成金、専門サービスもご紹介しますので、貴社の制度設計にお役立てください。
参考:マイナビキャリアサーチLab「2025年4月の「育児・介護休業法」改正から半年、介護離職防止の雇用環境整備は36.9%の企業が未実施」
介護離職とは

介護離職とは、従業員が家族の介護を理由に、仕事を辞めざるを得なくなる状況のことです。少子高齢化が急速に進む日本では、介護離職の問題が深刻化しています。
従業員はキャリアの中断や経済的な困窮に直面し、企業は貴重な人材を失います。つまり、双方にとって大きな損失となる問題です。
従業員が介護離職する背景
従業員が介護離職を選択する背景には、複合的な要因が絡み合っています。主な理由としては、仕事と介護の両立がもたらす心身への大きな負担です。
具体的には、以下のような課題が従業員を追い詰めています。
| 課題の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 身体的・精神的負担 | -介護による睡眠不足や疲労の蓄積 -いつ終わるかわからない介護への精神的なストレス -自分の時間がなくなり、社会から孤立している感覚 |
| 時間的な制約 | -突発的な対応(通院の付き添い、急な体調不良など) -日常的な介護業務による労働時間への影響 -介護サービスの利用手続きや情報収集にかかる時間 |
| 経済的な負担 | -介護サービスにかかる費用 -自身の労働時間を減らすことによる収入の減少 -介護用品などの購入費用 |
| 職場環境の問題 | -介護休業や休暇制度の不知・利用しづらさ -上司や同僚の理解不足による精神的負担 -柔軟な働き方(テレワーク、時短勤務など)ができない |
| 情報不足 | -利用できる公的制度や社内制度を知らない -どこに相談すれば良いかわからず一人で抱え込む |
上記の課題が一つひとつ積み重なり、最終的に「仕事を辞めるしかない」という結論に至ってしまいます。
介護離職の防止が経営課題とされる理由
介護離職の防止は単なる福利厚生ではなく、企業の根幹を揺るがしかねない経営課題です。「令和4年就業構造基本調査」(総務省)によると、介護・看護のために直近1年間に前職を離職した人の数は約10.6 万人にのぼります。
特に離職者の年代は企業の管理職や中核を担う40代〜50代に集中しています。長年培ってきた経験やスキルを持つ人材の流出は、企業にとって計り知れない損失です。
以下に、介護離職が企業に与える経営上の主なデメリットをまとめました。
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 熟練した人材の流出と競争力の低下 | 豊富な知識や経験、人脈を持つ中核人材を失うことで、組織全体のノウハウが失われ、企業の競争力が直接的に低下します。 |
| 生産性の低下と業務の停滞 | 離職者が出ると、残された従業員の業務負担が増加します。業務の引き継ぎが不十分な場合、プロジェクトの遅延やサービス品質の低下を招く恐れがあります。 |
| 新たな採用・育成コストの発生 | 離職した人材の穴を埋めるためには、新たな採用活動と、戦力化するまでの育成に多大な時間とコストがかかります。 |
| 従業員のエンゲージメント低下 | 「今の企業では長く働けないかもしれない」不安が他の従業員にも広がり、組織全体の士気やエンゲージメントの低下につながる可能性があります。 |
| 企業イメージの悪化 | 「従業員を大切にしない企業」といった評判が広まれば、採用活動において優秀な人材の確保が難しくなります。 |
以上の理由から、介護離職への対策は、リスク管理と持続的成長のための戦略的投資として位置づける必要があります。
企業が介護離職の防止に取り組むメリット

介護離職の防止策に積極的に取り組むことは、リスク回避だけでなく、企業に多くのメリットをもたらします。従業員が安心して働ける環境を整備すれば、組織全体の活性化につながります。
企業が介護離職の防止に取り組む具体的なメリットとして、主に以下の通りです。
- 人材の離脱を防ぎ組織の安定につながる
- 従業員が安心して働けるようになり仕事への意欲が高まる
- 働きやすい企業として外部からの評価も高まる
各メリットについて詳しく解説します。
人材の離脱を防ぎ組織の安定につながる
第一のメリットは、貴重な人材の流出を防止できることです。特に豊富な経験とスキルを持つベテラン従業員の定着は、組織の安定性と事業の継続性に大きく貢献します。
介護に直面してもキャリアを諦めずに済む環境は、従業員の企業に対する信頼と愛着を育みます。
従業員が安心して働けるようになり仕事への意欲が高まる
「万が一のときも企業が支えてくれる」安心感は、従業員の精神的な安定につながります。将来への不安が軽減されることで、従業員は目の前の業務に集中でき、パフォーマンスの向上が期待できるのです。
また、企業からの支援を実感しやすくなり、従業員のエンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)も高まります。
働きやすい企業として外部からの評価も高まる
従業員を大切にする姿勢は、社外にも伝わります。介護と仕事の両立支援に積極的な企業は、働きやすいホワイト企業として認知され、企業イメージが向上するのです。
結果として、採用活動において優秀な人材を引きつける大きなアドバンテージとなり得ます。また、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の観点からも、社会的な評価を高めることにつながります。
介護離職を防止するための対策7選

介護離職を防ぐためには、制度の整備から文化の醸成まで、多角的なアプローチが必要です。本章では、企業がすぐに着手できる具体的な7つの対策を紹介します。
- 介護離職の支援制度を利用しやすい環境を整える
- 両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)を活用する
- メンタルヘルス支援で従業員のストレスや不安に対応する
- 介護と仕事の両立状況を定期的に把握する
- 柔軟な働き方を選べる仕組みを導入する
- 相談できる窓口やサポート体制を強化する
- 介護と仕事の両立を応援する社内文化を醸成する
これらの対策について、順を追って詳しく解説します。
介護離職の支援制度を利用しやすい環境を整える
国が定める育児・介護休業法には、従業員が利用できるさまざまな支援制度が盛り込まれています。まずは、以下のような法定制度を整備し、従業員に周知することから始めましょう。
| 法定の主な両立支援制度 | 概要 |
|---|---|
| 介護休業 | -要介護状態の家族1人につき、通算93日まで休業できる制度 -3回まで分割取得が可能 |
| 介護休暇 | 年間5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、1日または時間単位で休暇を取得できる制度 |
| 所定外労働(残業)の免除 | 従業員が請求した場合、残業を免除しなければならない制度 |
| 時間外労働の制限 | 従業員が請求した場合、1カ月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせてはならない制度 |
| 深夜業の制限 | 従業員が請求した場合、午後10時から午前5時までの深夜労働をさせてはならない制度 |
上記の制度を就業規則に明記するだけでなく、社内ポータルやパンフレットなどでわかりやすく案内し、「いつでも誰もが利用できる」という雰囲気を醸成することが重要です。
なお、内容によっては対象外となる労働者もいます。詳細はその都度、厚生労働省や公的機関の案内をご確認ください。
両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)を活用する
介護離職防止のための制度導入や取り組みには、コストがかかる場合があります。そこで活用したいのが、厚生労働省の「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)」です。
介護離職防止支援コースは、従業員が介護休業を取得したり、仕事と介護を両立できる制度を実際に利用した場合に企業へ支給される助成金です。
代わりの人材を確保する際の費用を補えるため、企業は採用コストの負担を抑えながら人手不足を防げます。その結果、介護と仕事の両立を希望する従業員が制度を利用しやすくなるというメリットがあります。
以下に、2025年度における介護離職防止支援コースの助成内容をまとめました。
| 制度名 | 主な要件 | 助成額 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 介護休業を取得し、復職後も雇用が継続している | 40万円 |
| 介護両立支援制度 | 制度を1つ導入し、従業員が利用した場合 | 20万円 |
| 介護両立支援制度 | 制度を2つ以上導入し、従業員がいずれかを利用した場合 | 25万円 |
| 業務代替支援 | 介護休業を取得した従業員の代替要員を新規採用または派遣で確保した場合 | 20万円 |
| 業務代替支援 | 介護休業者の代替要員へ手当を支給 | 5万円 |
| 業務代替支援 | 介護短時間勤務者の代替要員へ手当を支給 | 3万円 |
本コースを利用できるのは中小企業のみで、助成金の対象となる従業員は制度ごとに1事業者あたり上限5名までと決められています。
助成金の詳細や最新情報は、厚生労働省のWebサイトでご確認ください。
参考:厚生労働省「2025(令和7)年度 両立支援等助成金のご案内」
メンタルヘルス支援で従業員のストレスや不安に対応する
介護は身体的な負担だけでなく、精神的にも大きなストレスを伴います。企業として、従業員のメンタルヘルスケアにも目を向けることが不可欠です。
専門家によるカウンセリングを受けられるEAP(従業員支援プログラム)の導入や、産業医・保健師との面談機会を設けるなどの対策が有効です。
介護と仕事の両立状況を定期的に把握する
問題が顕在化してからでは、対応が後手に回りかねません。従業員が隠れ介護の状態に陥らないよう、定期的に状況を把握する仕組みを作ることが重要です。
匿名のアンケート調査や管理職による1on1ミーティングなどを通じて、従業員が抱える課題やニーズを早期に把握しましょう。
柔軟な働き方を選べる仕組みを導入する
介護は突発的な対応が求められることも多く、画一的な働き方では両立が困難です。テレワークやフレックスタイム制度、時短勤務、時差出勤など、従業員が状況に応じて働き方を選べる制度を導入・拡充しましょう。
従業員は仕事への影響を抑えつつ、介護に必要な時間を確保できます。
相談できる窓口やサポート体制を強化する
誰に相談すれば良いかわからない状況は、従業員を孤立させます。人事・労務部門に専門の相談窓口を設置したり、外部の専門機関と連携したりして、従業員が安心して相談できる体制を整えましょう。
相談窓口では、社内制度や公的制度の案内だけでなく、ケアマネジャーの探し方など、介護に関する実践的な情報提供も行うとより効果的です。
介護と仕事の両立を応援する社内文化を醸成する
どれだけ素晴らしい制度があっても、利用しづらい雰囲気があっては意味がありません。介護と仕事の両立が当たり前に受け入れられる社内文化を醸成しましょう。
例えば、以下のような取り組みを通じて管理職の理解を深めていくことが不可欠です。
| 取り組み | 詳細 |
|---|---|
| 管理職向け研修の実施 | 部下から介護の相談を受けた際の適切な対応(傾聴、情報提供、ハラスメント防止)について学ぶ機会を設ける |
| 全社的な情報発信 | 経営層から両立支援の重要性を発信したり、制度利用者の体験談を共有したりする |
| ハラスメント防止 | 介護休業の取得などを理由とした不利益な扱いや嫌がらせ(ケアハラスメント)を禁止する方針を明確にする |
組織全体で従業員を支える風土を育てていくことが、介護離職防止の根本的な解決策となります。
【2025年4月施行】改正育児・介護休業法で企業に義務化される措置

2025年4月1日に改正育児・介護休業法が施行され、企業には介護離職防止のための新たな措置が義務付けられます。努力義務ではなく義務であるため、すべての企業で対応が求められます。
人事・労務担当者は、以下の内容を正確に理解し、準備を進めなければなりません。
- 介護離職防止のための個別の周知・意向確認
- 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
- 研修や相談窓口の設置など雇用環境の整備
これらの義務について、順を追って詳しく解説します。
介護離職防止のための個別の周知・意向確認
介護が必要な家族がいることを従業員が申し出た場合、企業には当該従業員に対して、介護休業や仕事と介護の両立を支援する制度について丁寧に説明し、利用する意向を確認する義務があります。
従業員が必要な制度をスムーズに利用できるようにするための措置であり、制度の利用をためらわせたり、不利益を示唆したりするような行為は一切認められていません。
| 対象となる従業員 | 介護が必要な家族がいることを企業に申告した従業員 |
|---|---|
| 企業が伝えるべき内容 | -介護休業および介護両立支援制度の概要 -申請窓口(例:人事部など) -介護休業給付金に関する基本情報 -介護休暇制度 -残業の免除・制限 -時間外労働の制限 -深夜勤務の免除 -介護のための時短勤務など柔軟な働き方の制度 |
| 周知と意向確認の方法 | 以下のいずれかで実施。 -面談(オンライン面談も可) -書面での説明 -FAXまたはメールでの案内(従業員の希望がある場合に限る) |
なお、「前例がないと強調する」「利用しないよう圧力をかける」など制度の利用を妨げる行為は、明確に禁止されています。従業員が安心して制度を利用できる環境を整えることは、企業の責務であり介護離職の防止にも直結します。
介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
従業員が十分な支援制度を知らないまま介護離職に追い込まれることを防ぐため、企業には介護が必要になる前の早い段階で情報を提供する義務があります。
40歳前後の時期に「介護休業」や「仕事と介護の両立支援制度」について丁寧に説明し、制度への理解を深めてもらうことが重要です。
制度の目的や使い方を正しく伝えることで、いざ介護が必要になった際に適切な支援を受けやすくなります。
| 情報提供の対象となる期間 | 以下の2つのタイミングで、企業は従業員へ制度説明を行わなければなりません。 -従業員が40歳になる誕生日の前日が含まれる年度の1年間 -40歳の誕生日当日からの1年間 |
|---|---|
| 伝えるべき内容 | 情報提供では、主に次のポイントを案内します。 -介護休業制度および仕事と介護の両立支援制度の内容 -制度を申請する際の窓口(例:人事部) -介護休業給付金に関する情報 |
| 情報提供の方法 | 以下のいずれかの方法で実施します。 -面談(オンライン面談も可) -書面での説明 -FAX -電子メール |
また、介護保険制度の仕組みも併せて案内しておくことが望まれています。
研修や相談窓口の設置など雇用環境の整備
介護休業や介護と仕事の両立を支援する制度がスムーズに利用できるようにするため、企業は以下のいずれかの取り組みを行う必要があります。また、より良い職場環境を整備するためには、可能な限り複数の施策を組み合わせて実施することが望まれます。
- 介護休業・両立支援制度に関する研修を開催する
- 制度に関する相談窓口を設け、相談できる体制を整える
- 自社での制度利用事例を集め、従業員へ共有する
- 制度を積極的に活用してもらうための企業方針を明確にし、社内に周知する
なお、研修を開催する場合、管理職の受講は必須とされています。
参照:厚生労働省「企業による社員の仕事と介護の両立支援に向けた実務的な支援ツール」
以上、改正育児・介護休業法で企業に義務付けられた3つの措置を紹介しました。
改正育児・介護休業法に違反したとしても、企業がすぐに刑事罰や行政処分を受けるわけではありません。しかし、だからといって対応を怠って良いわけではありません。
改正育児・介護休業法では、厚生労働大臣が事業主に対して報告の提出を求めるほか、助言・指導・勧告を行う権限を持つことが定められています(法第56条)。さらに、勧告に従わなかった場合には、その企業名が公表される可能性があります(法第56条の2)。
企業名が公表されたり、指導を受けた事実が報道されたりすると、次のようなリスクが生じかねません。
- 企業イメージの悪化
- 優秀な人材の採用が難しくなる
また、育児・介護休業法への違反は、従業員への義務を果たしていないことを意味するため、従業員から損害賠償を請求される可能性もあります。したがって、企業として適切な対応を行い、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。
参考:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法の概要」
参考:厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」
企業の事例から学ぶ介護離職の防止策

すでに多くの企業が、工夫を凝らして介護離職防止に取り組んでいます。本章では、3社の事例をご紹介します。自社で取り組みを検討される際の参考としてご活用ください。
SMBC日興証券株式会社
SMBC日興証券では、介護を自分ごと化するための全社員向け介護基礎セミナーを開催し、認知症・遠距離介護などテーマ別の応用セミナーへ段階的に拡大しました。
また、介護・育児・傷病を含む両立支援制度を整理した社員向け・管理職向けハンドブックも作成し、双方向コミュニケーションを重視した支援体制を整備しています。
これにより、社員の制度理解が向上し、介護不安や当事者の声が可視化されたほか、管理職の対応力が強化され、職場全体で両立を支える土壌が形成されました。セミナーは制度認知の促進と実態把握の起点となり、次の施策設計に役立っています。
参考:【企業事例】 “いつか”の不安を、いつから支える?セミナー開催が実態把握の起点にーSMBC日興証券株式会社様ー
芙蓉総合リース株式会社
芙蓉総合リースでは、社員アンケートで介護不安や情報不足が可視化されたことを受け、2024年から両立支援を本格化させています。まず全社員向けセミナーを開催し、介護の基礎知識・両立の進め方を提供しました。
その後、専門家に相談できる社内窓口を設置し、さらに管理職向け研修で部下支援の具体的対応やデータに基づく理解促進を行いました。
これにより参加率は期待を大きく上回り、「不安が軽くなった」「何をすべきかがわかった」など前向きな声が多数挙がっています。管理職からも実務的気づきが得られ、会社として介護を支える体制が強化されました。
社員の声を起点とした施策が、職場全体の理解促進と安心感の醸成につながっています。
参考:【企業事例】社員の声を起点に、仕事と介護の両立支援を展開~見えにくい不安に向き合う実務設計のプロセスとは-芙蓉総合リース株式会社様-
倉敷紡績株式会社
倉敷紡績では、事業所からの相談や若手男性社員の事例をきっかけに、仕事と介護の両立支援を本格化しました。
全社員対象のオンライン研修で「初動対応」と両立の考え方を伝え、DE&I(「Diversity(多様性)」「Equity(公平性)」「Inclusion(包摂性)」の3つの要素を企業経営に活かす取り組み)の文脈で介護支援を位置づけました。
合わせて、制度活用ハンドブック作成や事例共有も検討しています。研修後は「心が楽になった」「まず何をすれば良いか理解できた」「マネージャーとしての対応がわかった」などの声が寄せられ、介護を自分ごととして捉える意識と「会社が支える」というメッセージの浸透につながりました。
参考:【企業事例】”初動対応”がカギ。誰もが「自分ごと」として考えられる仕組みとは-倉敷紡績株式会社様-
介護離職防止の推進を支援するサービス

自社だけですべての対策を講じるのが難しい場合、外部の専門サービスを活用するのも有効な手段です。チェンジウェーブグループでは、介護離職防止に特化した多様なサービスを提供しています。
実態把握アセスメント・eラーニングプログラム「LCAT」
「LCAT」は、企業が仕事と介護の両立支援を進める際に役立つアセスメント兼eラーニングプログラムです。従業員はセルフチェックによって自分の介護への備えや知識レベルを把握でき、企業側も介護に関する潜在的リスクを可視化できます。
さらに、年間を通じて必要な情報が継続的に提供され、介護体制の構築やスムーズな職場復帰を支援します。
仕事と介護の両立支援セミナー
介護が始まる前の段階から必要な知識を学び、事前に準備できるようサポートしています。従業員向け・管理職向けなど対象別のプログラムにより、組織全体の介護リテラシー向上を目指します。
仕事と介護の“両立”相談窓口
累計2,000件以上の相談実績を持つ個別相談窓口では、介護自体だけでなく、仕事との両立に関する具体的な課題にも対応しています。利用者の約半数が介護未経験者である点も特徴で、早期相談を促す仕組みとして機能しています。
まとめ:介護離職防止は企業の未来を創る戦略的投資

介護離職は、避けて通れない経営課題です。2025年の育児・介護休業法改正は、企業にとって介護離職防止への取り組みを本格化させる大きなきっかけとなり得ます。
従業員が介護に直面しても安心して働き続けられる環境を整えることは、人材の定着、生産性の向上、企業価値の向上に直結する戦略的投資です。
本記事で紹介した対策や先進事例を参考に、具体的な一歩を踏み出していただければ幸いです。制度を整え、相談しやすい文化を醸成し、組織全体で従業員を支える取り組みが、企業の持続的な成長の礎となるのです。