<変革カレッジ2025受賞チームインタビュー> 転勤・地方営業の課題に若手リーダーが挑んだ~JTB商事「選択的ハイブリッド営業」実証実験の軌跡

「現場を変えたい」という想いはある。
けれど、何から着手し、誰を巻き込み、どう動かしていけばよいのか。
変革なんて、自分たちができるのだろうか。
そうした想いを持つ大企業のリーダー人材に、変革力を身につけ、行動につなげてほしい。
チェンジウェーブグループが主催する「変革カレッジ」は、異業種×変革実証実験で「組織視点」と「動かす力」を鍛える実践プログラムです。
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本記事では、
2025年度、大賞に輝いた株式会社JTB商事の「JTBネクストラボ」チームの皆さんにインタビューを実施。
実証実験のプロセスと、若手リーダーが「組織を動かす力」を獲得していった変化を率直な言葉でお届けします。

株式会社JTB商事「JTBネクストラボ」
営業戦略部 ホテル営業開発課 森本 亜衣さん(リーダー)
法人営業部 首都圏法人営業所 塚越 仁美さん
建装部 建装東日本営業課 中川 颯人さん
第二営業部 九州支店 深尾 舞さん
第一営業部 沖縄支店 大野 健太さん(※本インタビューは都合により欠席)
(所属は取材当時)
最終プレゼン資料(※抜粋版)
未来の営業スタイル「選択的ハイブリッド営業」とは
地域営業を支えてきたベテラン層が、今後10年で減少していく。
これまでなら、ベテラン層に代わり、20〜30代の若手・中堅層がその役割を担ってきました。
しかし、転居を伴う異動を望まない社員が増えたことで、地域営業の持続的な成長が危ぶまれています。
「居住地を変えずに地域営業を担うことはできないのか」
そんな問いから生まれたのが「選択的ハイブリッド営業」をテーマとした実証実験でした。
実験では、家族が都市部に住み、本人は地方に単身赴任しているという社員を対象に、都市部の営業所からリモートで働く2週間の「ふるさとワーク」を実施。
ワークライフバランスの向上による精神的な安定が得られた、ライフプランが描きやすくなる、などに加え、営業車事故リスクの軽減、オンラインを活用した効率的な営業活動といった成果が確認されました。
一方で、現地対応や新規開拓については改めて課題が浮き彫りに。
JTBネクストラボチームでは「多様な働き方の導入は不可欠」という結論は提示しながらも、今後に向けて6つの変革ポイントを挙げました。
「根本的な解決に至らない悔しさ…。でも、だからこそ、未来が見えた」
――大賞受賞おめでとうございます! 受賞から少し時間が経ちましたが、改めて今のお気持ちを教えてください。
森本 受賞直後は、限られた時間の中で根本的な問題解決にまで至らなかったもどかしさがありました。ただ、時間が経つにつれて、この取り組みが社内外、様々な方の目に留まっていることを実感しています。「受賞おめでとう」と声をかけていただく機会も増え、少しずつ意味の大きさを感じています。
中川 受賞した瞬間は、正直あまり実感が湧かなかったというのが本音です。その後社内で声をかけていただき「自分たちは大きなことをやったんだな」と感じるようになりました。レベルの高いチームが並ぶ中で大賞に選ばれたことを、改めて嬉しく思っています。
塚越 長い期間、メンバーと打ち合わせを重ねながら実証実験に取り組んできました。正直、大変なことも多かったですが、結果を出せたことはとにかく嬉しいです。協力してくださった皆さまへの感謝を強く感じています。
深尾 社内やグループ内でも多くの方に声をかけていただき、実証実験自体にも関心を持ってもらえたことに、大賞受賞の意味を感じています。結果だけでなく、取り組みの過程が評価されたことが大きかったと思います。

部署も年次も異なる5人。「実験中」が一番大変だった
――チームづくりで苦労された点はありますか。
森本 私たちチームの5名は全員営業職ですが、部署も年次も異なり、これまで接点が多かったわけではありません。でも、最初から自然と様々な意見が出てくるチームだったと思います。
例えば誰かが「これがいいんじゃないか」と言うと、他のメンバーは「こうした方がもっといいかも」「こんな案もあるよ」と次々に出してくれました。手を取り合いながら協力できたところが、このチームの良さでした。
――授賞式を拝見していても、チームの雰囲気がとても良いという印象がありました。
実証実験のテーマを決めるのはすんなり進んだのでしょうか。
森本 いえ、解決したい課題を絞っていく中で、実証実験期間として与えられているのは1カ月と限られています。何をどこまでやるのか、試行錯誤しながらテーマを絞っていったのが最初の壁です。「実証実験ありきの課題」にならないようにも意識はしていました。
壁は「調整」して「動かす」こと
――では、実際に動き始めてからはいかがでしょう?
中川 「ふるさとワーク」という実証実験をしましたが、現場側と受け入れ側、双方の社内調整が一番大変でした。対象社員の意思確認や、上長・受け入れ部署への事前説明など、実験前の調整に多くの時間を要しました。
実験中も、被験者が孤立しないようフォローし、メンバーで役割分担しながら一つずつ対応しました。関係部署への事前連絡は得意ではなかったのですが、今振り返ると、混乱を防ぐために欠かせないプロセスだったと感じます。
塚越 皆さん営業の数字を持っている中で、実験への参加によって日常業務においてご不便お掛けすることも多々あったことと思います。実験実施の趣旨をご理解いただくことについては、大澤取締役にも協力いただきながら皆で特に丁寧に進めました。
深尾 私は実証実験の被験者でもあったので、期間中は福岡から東京本社に移動して仕事をしていました。自分の業務をきちんと遂行しながら、単に「本社で仕事をするだけ」にならないよう、どう動けばこの実験に意味を持たせられるのかを考え続けていました。
森本 始まる前は「被験者を決めるのが大変」と思っていましたが、実際に大変だったのは実験が始まってからでした。
被験者の方々が東京本社や大阪にいる間、地方の営業所では人手が減り、負担が生じます。受け入れ側でも「どこに座ってもらうのか」「どうフォローするか」などの細かな配慮が必要で、想像以上に調整することがありました。
でも、この調整や配慮こそが、周囲を巻き込み、人を動かしていくことにつながるのだと改めて実感する経験だったと思います。

忙しさの波を 互いに乗りこなして連携した
――通常業務をしながら変革カレッジに参加されるのは、大変だった面もあると思います。工夫されたことはありますか。
深尾 期間中、5人それぞれに忙しさの波がありました。誰が今忙しいか、少し落ち着いているか、お互いに把握しながら進めていたと思います。
「今週は社内業務が多いから、パソコン作業を多めに引き受けるよ」「出張が続いているから、ここはフォローをお願いしたい」など、状況に合わせて役割を調整し、バランスを取ることができました。

変革カレッジで得た「連携力」と「巻き込み力」
――変革カレッジでの経験を経て、ご自身の仕事やキャリアに変化はありましたか。
塚越 「課題を設定し、実証実験を行い、まとめて発表する」という一連の流れを通して、自分たちでゼロから考える経験ができたことがとても良かったです。
仮説と結論を行き来しながら試行錯誤したことで、物事の捉え方や展開の仕方など、日常業務では意識してこなかった視点に触れることができました。これまであまり使ったことのない思考の領域を使い、今後、何らかの課題を解決する際の基本的な考え方や進め方を学べたと思います。
森本 私は現在、全国の営業所と横断的に連携する仕事をしているので、変革カレッジで培った連携力や巻き込み力は、今後の業務にも活かせると感じています。
また、会社のデータを見ながら5年後、10年後の未来について話す機会を多く持てましたので、自分自身の10年後の働き方を考える良いきっかけにもなりました。「どんな自分でいたいのか」を意識するようになり、キャリアセミナーにも申し込んだところです。

「文句」で終わるのではなく、より良い方向への「種まき」を選ぶ
――どのような方が変革カレッジに参加されると良いと思われますか。
森本 普段から「これをもっと良くするには?」と考えている方にとっては、実際に自分でやってみる場が与えられる、とても良い機会だと思います。やってみたからこそ分かることは、きっと多いはずです。
文句を言って終わるのは非常にもったいないので、物事をより良い方向に動かすための“種まき”の場として、ぜひ活かしていってほしいですね。
中川 今回参加された他の企業では、自ら立候補して参加したという方が複数いました。普段から「会社を変えたい」「もっと良くしたい」という思いを持っている方が参加すると、学びや経験をより活かせるのではないかと思います。
――皆さんの提言を、今後どのように活かしていきたいですか。
森本 実証実験で見えてきた課題は、他の制度も含めて全体的に整えていく必要があると、メンバーで話しています。
このテーマに継続して取り組むには、変革カレッジの枠組みの中だけでは難しい部分もあるので「会社としてどう取り組むか」を考え、動いていくことが重要だと思っています。
――本インタビュー当日は育児休業中のためご欠席だった、大野健太さんからもコメントをお寄せいただきました。
社会が課題としている転勤問題について、変革カレッジを通じて様々な方の力をお借りし、実証実験を行うことにより、一つの案を提示することが出来て良かったと思います。
この制度に関しては、当社ですぐに実施されるかは未定ですが、今から会社の中枢を担っていく世代の悩みに対し、解決に向けた提案ができたことは良かったです。
また、今回の議論や提案を通じ、社内の様々な方々と関わることができ、一つの意思決定をする際には多方面で議論し検討をしなければならないと肌で感じました。
変革カレッジを通じて、より良い会社作り、組織作りに寄与し、永続的な会社の繁栄に役立つための資料となれば嬉しいです。
日々の仕事の合間に5人で力を合わせてプレゼン資料を作ったこと、発表の練習を行ったことは、とても思い出に残っています。

事務局の声
「声を丁寧に拾い上げ、最後まで諦めずにまとめ上げたその姿勢に感謝」
JTB商事 取締役執行役員 大澤実紀 様
「転勤」「地方営業」は、世代によって向き合い方が異なるテーマでもあります。実際、「それは本当に課題なのか」という意見も飛び交った中で、メンバー5人は自分たち世代の声を丁寧に拾い、最後まで諦めずにまとめ上げました。
本質的な経営課題に切り込むまで粘り強く取り組んだ姿勢に心から感謝し、立派だと感じています。
今回の実証実験を通じて、20代・30代の働き方や意識が経営層に明確に示され、会社として向き合うべき課題として位置づけることができました。
制度、組織のあり方など、彼らの提言を受けて各所で議論が始まっており、非常に大きなきっかけになったと捉えています。
変革にはどうしても痛みや葛藤が伴いますが、ここまで踏み込めるメンバーだったからこそ、社内に変化を起こすことができたのだと実感しています。
変革カレッジへの参加は、本当に意義のある経験でした。
「経営層の意識に変化が。チームが灯した火を絶やさないことが私たちの役割」
営業戦略部次長 海老澤裕子 様
初期段階から、転勤などの制度に関わる課題がメンバー間で多く挙がっているのを目にし、正直なところ「ここまで踏み込んで大丈夫だろうか」と感じる場面もありました。
様々な議論・反対意見を受け止めることは本当に大変だったと思いますが、実証実験までこぎつけ、最後は会社の課題としてきちんとまとめ上げた。その姿勢は本当に素晴らしく、心から尊敬しています。
実験被験者に対し、きちんと感謝を伝えていた姿もとても印象的でした。
私自身は、できるだけメンバーを誘導せず、否定的な意見に傾かないよう意識して関わってきました。「ダメ」「違う」という言い方をしないよう心がけていたのは、メンバー自身が考え抜き、結論にたどり着いてほしかったからです。
途中からは、社長を含む経営層の意識が少しずつ変わってきたという手応えも感じました。この火を絶やさない、それは今後の私たちの役割だと思っています。
変革カレッジは、自社の現場課題を起点に、実証実験を設計・実行し、目に見える変化を生み出す変革リーダー育成プログラムです。
リーダー人材の「課題探索・設定力」「組織視点」と「組織を動かす力」を鍛えます。
「自社に適した参加(人数・職種・テーマ)を考えたい」
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