トップ - セミナー・レポート - <変革カレッジ2025受賞チームインタビュー> オープンチャットで「助け合い」を仕組みに|~森永製菓「Timeless Project」実証実験の軌跡

<変革カレッジ2025受賞チームインタビュー> オープンチャットで「助け合い」を仕組みに|~森永製菓「Timeless Project」実証実験の軌跡

責任感のある人ほど、周りに頼れない。
ただ、それが現場の機会損失につながることもあります。
誰もが頼り、頼りやすくなる仕組みを作れないだろうか。

「変革カレッジ」2025で審査員特別賞に輝いた、森永製菓「Timeless Project」チームが挑んだのは、助け合いを個人の善意ではなく、仕組みに変える実証実験でした。

➤変革カレッジDay1,Day2のレポートはこちらから
➤変革カレッジFinalのレポートはこちらから

本記事では、メンバーのお二人に、取り組みの背景と実現するための工夫、実証の先に見えた変化を伺います。
現場から変革の一歩を生み出し、波及させていくヒントをお届けします。

森永製菓株式会社 「森永 Timeless Project」

営業本部東京支社営業4部 田下 晶さん
営業本部関西支店営業2部 吉村 真実さん
(所属は取材当時)

森永製菓で営業を担う女性社員のうち、育児と両立している人は5名。マネジメント職にある女性は2名でした。責任感の強さゆえか、業務を周囲に分担せず、ライフステージの変化と仕事との兼ね合い、キャリア継続に悩む方がいることが課題となっていました。

そこで「森永 Timeless Project」の2人は、「助け合い」を仕組み化する実証実験に取り組みました。
実験でトライした「助け合い」の流れは以下の通りです。
①突発的に業務対応が難しくなった際、オープンチャットで部内に業務を共有・対応を依頼
②その業務に対応可能な人が自ら立候補する
③成立後、引き継ぎは双方の上長を交えて行い、業務を代わりに対応する
④代替業務対応後、対応者は後日お礼を貰える

首都圏・関西の営業メンバー158名を対象に実施した結果、48名の支援が成立。機会損失の防止は41件にのぼりました。
仕組みになっていることで、依頼する側、引き受ける側双方の心理的ハードルが下がったほか、顧客からも「担当者でなくても、迅速に対応してもらえて良かった」と前向きな声が寄せられる結果となりました。

以前からのモヤモヤが「会社を本気で変える場」で昇華された

田下 参加するからには「何もなしでは(会社に)帰れない」という気持ちで臨んでいたので、審査員特別賞をいただけたときにはホッとしました。吉村さんと2人でここまでやりきれたことは本当に大きくて、「この2人じゃなかったら、あのゴールには辿り着けなかった」と思っています。

吉村 以前から、営業本部の女性を取り巻く課題にモヤモヤしながら、田下さんと動いてきました。今回、会社がこの「変革カレッジ」という“場”を用意してくれたことで、ようやく本気で状況を変えにいくことができた感覚があります。
「次はどう会社を動かしていくか」を考えるスタートラインに立てた、という気持ちです。

「迷ったときも、立ち返る場所は同じ」2人で走りきれた理由

田下 私たちは、これまでも小さな課題を一緒に考えてきた仲です。女性同士の悩みを共有するネットワークを作りたいと、座談会を開いたり、オンラインセミナーを開催したりしてきました。何年もかけて「会社を少しずつでも動かしたい」という思いを共有してきた相手と、こうして一つの形を作れたことが、何より嬉しかったです。

正直、私自身の力不足を感じる場面もたくさんあったんですが、それでも最後まで一緒に走れたことには、本当に感謝しかありません。

吉村 田下さんとは、置かれている立場や境遇も似ていて、考え方も近い部分があったからこそ、迷ったときも立ち返る場所が同じだったなと感じています。

お互いに「これは本当に現場に必要なことなのか?」と問い続けながら進められたのは、このメンバーだったからこそ。
正解が見えない中でも、同じ方向を向いて一緒に悩み、動いてきた時間そのものが、今振り返るとすごく大きな財産だと思っています。

「ここでやらなきゃ、この先はない」参加を決めた背景

田下 何かを変えたいと思っていましたから、”渡りに船”だったというか、やらない理由が見当たらなかったです。
仕事との両立で忙しくなることは予想できましたが、それ以上に「ここでやらなきゃ、もうこの先ないかもしれない」という思いが強かった。だからこそ、参加を決めたことに後悔は全くしませんでしたし、本当にやって良かったと思っています。

吉村 営業部とダイバーシティ推進室が一緒になって新しい取り組みを始める、という話を聞いて、「あ、これはもうやるしかないな」と思いました。背中を押された部分もあって、むしろこの機会に感謝して、迷わず手を挙げました。

田下 最初は女性向けの仕組みをイメージしていましたが、議論を重ねるうちに、これは女性だけの話ではなく、営業部全体の課題だと感じるようになりました。育児や介護、体調不良など、男女関係なく誰にでも制約は起こり得ます。だからこそ、特定の人のためではなく、「誰でも使える仕組み」にしようと決めていきました。

吉村 「今、現場が一番困っていることは何か」と考え、アンケートを取ったところ、8割以上の人が「突発的な事情があっても周囲に頼らず自分で何とかする」と答えていて、課題は“頼れないこと”なのではと考えました。
そこから、「困ったときに無理なく頼れる仕組みを作ろう」と方向が定まっていったんです。

(最終プレゼン資料より)

最大の壁は「頼んでいいんだろうか?」浸透の難しさをどう越えたのか

田下 部署ごとに、この仕組みの使われ方の差がかなり出たことに驚きました。大変活発に利用してくれる部署もあれば、ほとんど利用されない部署もあり、「この仕組みはみんなにとって使いやすいのか」と悩むこともありました。
今は必要ない、と思う人もいる中で、どう浸透させていくかは大きな課題でした。

吉村 やはり一番の壁は「頼んでいいのかな」「迷惑じゃないかな」という心理的なハードルでした。
そこで、依頼の仕方をテンプレートで示したり依頼が出たら積極的に「いいね」を押して、「頼ることは悪くない」という空気を作ったりしました。時間はかかりましたが、後半は少しずつ自然に回り始めた感覚があります。

誰が、どんなことで困っているかが見える:理解し合える土台が生まれた

吉村 一番の手応えは、「誰が、どんなことで困っているのか」が見えるようになったことだと思っています。普段はなかなか言えない事情も、業務の流れの中でチャットに出てくるので、「あの人はこういう状況なんだ」と自然に共有されていきました。結果として、お互いに理解し合える土台ができた感覚がありました。

田下 結果を見て、「こういう仕組みを待っていた人が多かったんだな」と感じました。
みんな「自分の仕事は自分でやるもの」と思ってきたけれど、本当は、頼れるなら頼りたかったんだと思います。
実際、アンケートや日々のやり取りを通して、そうした声がたくさん見えてきました。現場にいる私たちだからこそ気づけた課題を、ちゃんと形にできたこと自体が大きな手応えでしたし、「やってよかった」と素直に思えたポイントです。

吉村 実証実験の前後でアンケートを取り、働きやすさを10段階で聞きました。実験後は全体的に数値が上がっていて、特に30代の女性は大きく改善していました。「言わなくても伝わる」「無理しなくていい」と感じてもらえたことは、大きな成果だったと思います。

「無理だろう」から「やり方次第で、できるかも」へ

田下 この年齢でも、新しいことに挑戦できるんだ」と思えたことが大きかったです。
営業の仕事しかしてこなかった中で、会社全体の仕組みを考えるような経験は初めてでしたし、正直、最初は戸惑いもありました。
でも、やってみたらできることも多くて、自分の可能性を少し広げてもらえた感覚があります。「これは無理だろう」と思っていたことも、「やり方次第でできるかもしれない」と考えられるようになった。その意識の変化が、今一番の変化かもしれません。

吉村 正直に言うと、キャリアについてはずっと悩んできました。変革カレッジに参加したことで、「会社を変えたい」と本気で思うなら、ある程度の立場や責任を引き受ける必要がある、ということは強く実感しました。これまで「上に行くこと=正解」という価値観にも違和感を持っていたんですが、変革を現実のものにするには、影響力のあるポジションに立つ意味もあるんだな、と。そこに向かう覚悟が完全にできたわけではないですが、自分のキャリアについて、初めて現実的に考え始めた気がしています。

この仕組みを全社導入へ!「使える形」に仕上げる

田下 発表後すぐに「もう来年度から全国化でいいんじゃない?」という声も頂いたんですが、一定期間しっかり伴走しながら、全国どこでも同じレベルで運用できる状態を目指したいと思っています。時間はかかるかもしれませんが、現場が本当に使いやすい形に仕上げてから、正式な仕組みとして定着させたいと考えています。

吉村 現場の声を聞きながら少しずつ改良して、納得感を持ってもらうことを大切にしたいですね。最終的には、女性だけでなく、誰かが困ったときに自然と支え合える“セーフティネット”のような仕組みに育てていけたらと思っています。

変革カレッジで得た「私たちも、会社を変えられる」という手応え

吉村 「頼ることは弱さじゃない」が、自分の中で腹落ちできたことです。正直、これまでは私自身も「自分で何とかしなきゃ」と抱え込む側でした。でも、実証実験で、誰かに頼ることで仕事が止まらず、チームとして前に進められるという場面を何度も目にして、考え方が大きく変わりました。

田下 変革カレッジで得たものは、「現場にいる私たちでも、ちゃんと会社を変えていけるんだ」という手応えでした。「小さな違和感を放置しないでいい」「声に出していいんだ」と思えるようになったのは、自分自身にとっても大きな変化です。
私たちのこの経験が、誰かの一歩踏み出す勇気につながったらいいなとも思っています。

「森永、Timeless Project」のメンバーと森永製菓事務局の皆さま

「実証実験の事実が、会社を動かす説得力になった」
ダイバーシティ推進室 柴田高輝 様

審査員特別賞の受賞を大変嬉しく思っています。メンバーが半年かけ、熱い想いを持って取り組んできたことが外部の皆様に評価された事は非常に価値があると考えています。

メンバー2人は「変革カレッジ」での8カ月間、現場のリーダーとして本業に励み、育児もしながら参加して頂きました。サポートする側としては、オーバーワークにならないかを心配していましたが、「後輩には同じような思いをさせたくない」と全力で取り組むお二方の姿に感銘を受けました。

「変革カレッジ」では実証実験を行う事により、事実に基づくデータが得られることが非常に意義があると考えています。新しい取り組みを机上の空論で終わらせるのではなく、この「事実」により、客観的指標による評価が可能になり、取り組み意義・効果を測定する事が出来ました。現在はこの事実に基づいて社内に説明を行い、本施策の実現に向けてより一層取り組みを加速させています。

もちろん、様々な意見もありますが、審査員特別賞及び審査員の方々や社外の方から激励のお言葉をいただき、「方向性としては間違っていない」という支えになっています。しっかり施策まで落とし込んでいきたいと思います。

変革カレッジは、自社の現場課題を起点に、実証実験を設計・実行し、目に見える変化を生み出す変革リーダー育成プログラムです。
リーダー人材の「課題探索・設定力」「組織視点」と「組織を動かす力」を鍛えます。

「自社に適した参加(人数・職種・テーマ)を考えたい」
「まずは概要だけ聞きたい」
など、お気軽にご連絡ください。

Download

資料ダウンロード

チェンジウェーブグループの各サービスの資料など
こちらからダウンロードすることができます。

各サービス資料の
ダウンロードはこちら

資料ダウンロード

Contact

お問い合わせ

チェンジウェーブグループのサービスについて、
お気軽にご連絡ください。

サービスに関する
お問い合わせはこちら

お問い合わせ